今回はオクラさんの大好きな漫画、小手川ゆあさんの「死刑囚042」をご紹介したいと思います。
全5巻。少ないです。それもあってか、一番リピートしている漫画かもしれません。
題材が死刑制度廃止ということで、非常に重々しく、堅苦しい内容に思えるかもしれません。
しかし、そのような死刑制度に対する是非を求めるというところまでの作品ではありません。
ゆったりと、まったりとした、どちらかというとヒューマンドラマに近い作品ではないでしょうか。
内容
刑法が改正され、死刑制度が廃止されることとなった日本。今後、死刑に相当するものは無償での社会奉仕活動をさせる予定ではあるのだが、実際にはどのようにするのか。何か策はないか・・・そこで、前段階としてある実験が行われることとなった。
それは「脳の破壊衝動を司る部位にチップを埋め込んで、社会奉仕活動をさせる」というものであった。脳の興奮が殺人を犯すほどに達すると、脳を破壊するというのである。
その実験台に選ばれた男、死刑囚042号こと田嶋良平。
彼は7人もの人間を殺した冷酷で残忍な死刑囚だったのだが・・・
舞台となるのはとある高等学校。7人もの人間を殺した男が、実験場となる学校で生活を送ることとなる。多くの人間が不安と恐怖を感じる中、ある一人の女生徒との出会いで物語は大きく動き出す。死刑制度廃止反対運動などの様々なトラブルが起こる中、多くの人たちとの交流を通じ、少しずつ人間としての心を取り戻していく死刑囚。
関わった人たちは皆、この死刑囚がなぜ7人もの人間を殺したのかが信じられないくらいであった。
そんな田嶋こと死刑囚042号は、実は8歳から14歳の間失踪していた。
しかしその期間の出来事を、彼はこれまで誰にも語ることがなかった。いったい彼はどこで何をしていたのか・・・
その間の出来事が、彼が殺人を犯すきっかけとなっていたのだが・・・
感想
冒頭ではヒューマンドラマという言い方はしたものの、内容は「死刑」に関するものであり、読者は多かれ少なかれ、その是非を考える一旦となることでしょう。
この作品が書かれた後の2009年には裁判員制度が始まり、以前よりは身近なものになったかもしれませんが、それでも依然として多くの人が関わることもなく、考えることもあまりないのではないでしょうか。
もちろん、この作品を読んだからといって、すぐに賛成だとか反対だとか、はっきりと意見が分かれることもないと思いますが。
主要な登場人物には、とても感情移入しやすいと思います。涙もろい方は泣いてしまうかもしれませんね。感動もそうですが、個人的には、読んだ人を穏やかに、やさしい気持ちにさせてくれる、そんな作品だと思います。
人生には
今 思いかえせば
あれが「幸せ」そのものだったな・・・と
思い返す「幸せ」の方が多い今 幸せだと
感じることはとても少なく
一瞬のことなのだけど一生忘れられない
そんな「幸せ」になる
とってもいい話だよ~