~怖い話~「時計」

時計 オクラさんのお部屋

こんにちは。オクラさんです。
まだまだ暑い日が続きそうなので、今日はオクラさんが以前聞いた、とても印象的だった怖い話をします。

 

 

 

怖い話するよー!怖がりさんは先に進まない方がいいかも?

 

 

 

これはオクラさんがまだ学生時代だったときに、とても親しい人に聞いた話です。名前はYさん。

Yさんはオクラさんと同じ中学校の2つ年上でした。その中学校が舞台となった話しで、もちろんオクラさんも知っている場所。ですから、今でもその学校には少々近寄りがたい印象を持っています。ここからはYさんの立場で語らせてもらいます。

 


 

~時計~

 

ある夏の日の夜のこと、私は先輩達数人と一緒に遊んでいました。

時刻は深夜をまわり、話の流れで私が通っていた中学校に行こうということになりました。

もちろん、学校には誰もいません。

静かな学校の敷地を、バカ騒ぎをしながら、半ば肝試し感覚で歩き回りました。

一通り敷地内を歩き回ったのですが、特に何も起こらず、一番奥の、校舎横の駐輪場の前に座って雑談をすることになりました。

 

そうこうしているうちに、A先輩が

 

「もう3時過ぎてるし、遅いから最後に写真撮って帰るぞー」

 

かれこれ20年ほど前の話です。今のようにスマホを持ち歩いている時代ではありません。

そのため、多くの人はインスタントカメラで写真を撮るのです。

雑談をしていた駐輪場前で、校舎側面が背景になるように皆で写真を撮りました。

そして、その日はそのまま解散となりました。

 

 

それから数週間が過ぎ、久しぶりにA先輩から自宅に電話がかかってきました。

そのときは理由をはっきり言わなかったのですが、

 

「とにかく見てほしいものがある。予定が空いているときに家に来てくれないか」

 

そう言うのです。

 

先輩の様子が少しおかしく感じた私は、すぐにその先輩の家へと駆け付けました。

 

「これを見てくれ・・・」

 

そう言う先輩は一枚の写真を取り出しました。それは、あの日の夜、校舎を背景に撮った写真でした。

 

見た瞬間、私はすぐにその写真の異様さに気づきました。

 

笑顔で笑う皆の後ろに、校舎の壁に、巨大な時計が写っていたのです。

 

1から12までの数字の、一般的によく校舎に取り付けられている時計です。

 

しかし、校舎の時計というのは、だいたいは横に長い面の、中心の上部にあることが多いはずです。

 

この学校の校舎も同じはずでした。

 

ところが写真の時計は、階段などがある隅の側の側面に写っているのです。そんなところに時計があるはずはありません。ましてやこんなサイズの時計など・・・

 

校舎は三階建て、その壁一面にもなる大きさの時計が、背後にはっきりと写っているのです。

 

皆の笑顔なんて目に入るはずもない私。

 

その時計に釘付けです。

 

「これはいったい・・・なんなんですか・・・」

 

「分からない・・・」

 

「写真を撮った後、すぐに現像に出して確認していたんだが、ちょっとあまりにも気持ちわるくて誰にも見せずにしまっていたんだ・・・」

 

 

 

「でも、数日前・・・」

 

 

 

笑っている一人の青年を指さすA先輩

 

 

 

「こいつ・・・」

 

 

 

何やら落ち着きのないA先輩

 

 

 

「〇〇先輩がどうかしたんですか?」

 

 

 

○○先輩はこの日に会ったばかり、特に親しいわけではありませんでした。

 

 

 

 

 

「・・・」

 

 

 

 

 

「死んだ・・・」

 

 

 

 

「死んだ?」

 

 

 

 

「・・・そう・・・数日前に・・・」

 

 

 

 

「なんでまた・・・・」

 

 

 

 

「事故だって・・・」

 

 

 

 

「状況はよく分からないんだけど、バイクで事故ってそのまま・・・見晴らしのいい道路で、何でこんなとこでって・・・」

 

 

 

 

他の人たちも疑問な様子だったとのことです。

 

 

 

 

「そうなんですね・・・」

 

 

 

 

「本当は誰にも見せるつもりなかったんだけど、さすがにちょっと怖くなって・・・」

 

 

 

 

「とりあえずお前にも見てほしいって・・・ごめん・・・」

 

 

 

 

「いいですよそんなこと」

 

 

 

 

内心複雑な気持ちの私でした。

 

 

 

 

「でもこの時計、何なんですかね?」

 

 

 

 

「なんで、12時なんですかね?」

 

 

 

 

「あれ?」

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

「いや、そんなはずは・・・」

 

 

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

 

 

「現像して初めて見たとき・・・写真撮った時間と・・・同じくらいの・・・時間だった・・・」

 

 

 

 

「3時過ぎてた・・・でもこれ・・・」

 

 

 

何気なく言ってしまいましたが、確かに言われてみると、今更ながらと気づきました。写真を撮ったのはもっと遅い時間だったはず。

 

 

 

写っている写真は12時ちょうどを指していました。

 

 

 

 

前見たときとは時計の時刻が違っているというのです。

 

 

 

 

「うそだろ!?」

 

 

 

 

「まさか?」

 

 

 

 

「あっ・・・」

 

 

 

 

何かに気づいた様子のA先輩

 

 

 

 

「聞いたんだけど、確かあいつが事故った時間って・・・」

 

 

 

 


 

 

それからYさんは学校が忙しくなり、A先輩とも疎遠となっていったそうです。
あの写真が今、どういう状態なのかは分かりません。
今もあの時刻を指しているのか、それとも別の時刻を示しているのか・・・
それを知るよしもないそうです。

 

 

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